魔法使い黎明期を読んでみて感想を書いてみました。
アニメ化もした「ゼロから始める魔法の書」の第2部とされる作品。
そのため世界設定など細かい部分で同じ部分があります。
とはいえ著者的には新シリーズとして書いたとのことで、実際この作品から呼んでも違和感なく読めるでしょう。
3人の特別実習生と先生が共に成長していくなろう系。
テンプレ要素が少ないのでなろう系に飽きている人でも面白く読むことが出来ます。
異世界アクションよりストーリー重視の作品ですね。
ネタバレもあるのでご注意ください。
目次
【魔法使い黎明期】の基本情報
虎走かける
タツヲ
いわさきたかし
しずまよしのり
出版社:講談社
掲載誌:月刊少年シリウス
2020年1月9日1巻発売
2020年8月6日2巻発売
あらすじ
魔法学校最底辺の成績を持つ主人公のセブ(セービル)。
魔法の実力も優れていることはなく、数少ない使用できる魔法も詠唱が必要だった。
しかし彼は魔法学校に入学する以前の記憶がない。
魔法学校を退学になってしまうと魔法に関係する記憶を封じられてしまうことから魔法使い以外の道を考えることは出来なかった。
そんな彼は特別実習生に選ばれる。
それは反魔女派大陸の印象を変える目的だったが、引率のロス先生に外の記憶を残すための退学を前提とした特別実習だとも言われてしまう。
さらに実習先で魔女狩りの人質に取られてしまい一同は窮地に陥った。
その時セブは通常の人間であれば魔力を吸われて死んでしまう「魔杖ルーデンス」に触れたが無事生き残ることに成功。
セブは誰もが驚くような魔杖を超える魔力量を見せつけたのだった。
どんなストーリー?
魔法使いと対立派閥を軟化させていくことを目的とした魔法学園に所属する主人公たちの成長を描いたストーリー。
魔法学園は対立している南の人間の意識を変えるため、南に魔法を当たり前と考えるような村を作りました。
主人公たちはそこに特別実習生として村で過ごすことを命じられます。
何年かの間に魔法使いとしての実績を上げ村の役に立てれば魔法使いとして学校を卒業できる。
優秀な成績の人は即戦力として働き、主人公のような落ちこぼれは僻地で修行しながら勢力拡大を目指すのに使うという方針。
まあそれも表向きの理由ではありますが…
危険な旅路や村での問題、学長の真の思惑、主人公の潜在能力と取り巻く魔女たちが入り乱れて描かれていきます。
世界観
主人公が住むウェニアス王国や周辺の国は魔法使いに好意的ですが南に行くほどに反発が強くなる世界。
数年前に和平したとはいえ500年間対立していました。
この世界には「北の災厄」というものが存在し、「災厄の残滓」についても問題になっているとのこと。
6年前に1人の魔女がありえない数の悪魔を召喚した上で大陸の北部を滅ぼしたのが「北の災厄」。
魔女が倒された後も悪魔の作った化け物が多数残されているのが「災厄の残滓」です。
世界の中心にあるウェニアス王国から北が「災厄の残滓」のある不毛地帯のため、王国の周囲は北の怪物を塞き止めている魔法使いに好意的。
南に行くほどに魔法使いの影響が薄くなることが魔女への反発が強くなっている理由ですね。
魔法使いと教会の対立
魔法使いと対立するのが教会グループ。
教会は魔女との和平派と弾圧派に分かれてだいぶ揉めている様子。
教会の魔女狩りグループを女神の浄火(デア・イグニス)といい、魔女狩り実行者を裁定者と呼んでいます。
名目は「悪しき魔女から民の救済すること」ですが、メンツは死刑囚を集めた戦闘集団。
単騎で魔女と戦うことを想定して訓練されているため相当の実力者です。
とはいえ残虐さが目立ち、魔女と教会の和平とともに解体されたとのこと。
しかし裏で暗躍しているのか主人公グループとも戦闘することになります。
一癖も二癖もある主人公たち
特別実習生のメンバーは学長が退学させたいメンバーと考えてもおかしくない人間たち。
異常な魔力値で魔法がまともに使えず記憶のないセービル。
獣落ちのクドー。
教会と秘密裏に繋がるホルト。
そして引率の魔女。
この4人を主人公として物語は進みます。
セービル
潜在能力最強系です。
元々は記憶もない上に魔法が全然使えない落ちこぼれ。
同期に無詠唱が使える人間もいるなか自身は少ない使用できる魔法にも詠唱が必要というレベル。
しかし実習先のハプニングで魔力量という才能を開花させます。
魔杖を超える魔力量というのは相当に凄まじいらしく、前代未聞で魔力量は無限だろうと引率の先生に評されていました。
魔法が使えなかったのも魔力の多すぎによる暴走や、暴走を心配した結果発動しなくなってしまっていたとのこと。
さらに肉体からも魔力量が溢れ出しているらしく、周囲の魔法の調子をも上げることが可能。
このまま魔法を使えなくても生けるバフとして生きていけそうですねこれ。
とはいえ無双系の漫画ではなく、このことが判明したからといってセービルが敵を打倒しまくるといったことはありません。
ちなみに、後に記憶は学長が奪ったと主人公唯一の記憶にある魔女が述べていました。
黎明の魔女ロー・クリスタス
魔法学校数人の特別実習生の引率の先生です。
ルーデンスの魔杖の契約者で、その魔杖に対しては魔女狩りも恐怖していました。
魔杖ルーデンスには触れた人間の魔力をすべて奪い死に追いやる能力があります。
何かに包めば代償はないようですが。
ルーデンスの魔杖の影響で不老不死となっており300年は生きているとのこと。
魔力で身体を維持するため食事や睡眠すら必要ではありません。
不老不死の影響で3大欲求が不必要となり「楽しいこと」を求めるようになりました。
ちなみに見た目は幼女。
長生きの影響もあって昔は混浴が常識だったと男子生徒の前で裸でお風呂場に乗り込んでくるような自由人。
引率の先生に名乗り出たのは「ゼロの書」と呼ばれる魔法の基礎理論が書かれた本の閲覧が目的。
本来は卒業した上で契約を結ばないと読めないその書を契約無しで読もうとしていました。
その理由も縛られたくないということとただの退屈しのぎというだけ。
それ自体は認められませんでしたが、著者「泥闇の魔女」に会わせてもらうことを条件に引率を引き受けました。
ホルト
反魔女派の偵察要因として教会から送り込まれた女の子の生徒。
魔法学校で優秀な成績を残し魔法世界の重要なポジションに就くことを命じられていました。
実際魔法使いとしても優秀で、使う魔法が多種というだけでなく無詠唱で唱えることができます。
魔法学校でも友達とは仲良くしているらしいですね。
教会には好んで所属していたわけではなく強制的だった様子。
無理やり頭の2本の角をのこぎりで切り落とされたり、教会に背いてすべてをバラすことも考えていました。
結局主人公にバレてからは再び仲良く特別実習生として旅を進めています。
クドー
教魔兵団に入るため魔法学校に通っているトカゲ姿の男の子。
教魔兵団は元々は教会騎士団と呼ばれ獣堕ちを嫌う集団でしたが、教魔兵団となってからは獣堕ちの部隊も作られ優秀な兵士たちが集まっています。
見世物小屋で捕まっていたクドーが「北の災厄」に巻き込まれ、閉じ込められているときに破竜王に助けられて教魔兵団に入ることを決意。
破竜王と同じように誰に褒められなくても人を助けることができることを目標としています。
割と主人公気質で他の人間に誤解されながらも裏で1人、自分を嫌う学生でさえも助けようとしており良き生徒と言えるでしょう。
嫌われやすいのは獣堕ちということと性格がツンデレということもあるでしょうね。
なろう系でも上位の絵のクオリティ
絵は十分満足できる上手さでしょう。
読みやすいですしなろう系らしいキャラクターたちが描かれています。
ハーレム要素やお色気要素はありませんがそこは良し悪しですね。
丸みを帯びた可愛らしいキャラクターが多め。
そのため漫画全体が少年漫画らしくなっています。
【まとめ】魔法使い黎明期
さすがに有名な「ゼロから始める魔法の書」の第2部なだけあってクオリティの高いなろう系。
無駄なハーレムなどで媚びている感じもなく特に不満のでない面白い作品となっています。
2部作らしいですがこの作品から読み始めても問題ないようなストーリー構成になっていますね。
十分に面白いですし続きの話も早く読みたいと思えました。
テンプレギルド系、学園モノ、スローライフ系に当てはまらない成長物語なところが面白い。
無料で試し読みもあるのでぜひご利用ください。
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